山形東涛会オンライン文化祭  
      
陶芸の部
                          制作者  細谷俊郎
                 
取材 令和3年9月17日

まず最初に紹介するのは細谷君が使用している窯である。
作品の展示などをしている建物の玄関わきに鎮座している。
大事に大事にしている窯である。

 作品たちはこの部屋だけではなく他の棟の部屋にもぎっしりと詰まっている。


 以下の部分からの説明は細谷君自筆の添え書きからのものです。

 最初に紹介するのは 染付 網目大皿  直径31センチ、高さ5センチ
 網目の中央に山形東高の校章をいれてみました。酸化コバルトで描いた模様の上に1240℃から1260℃
 で焼成するとガラス質となる石灰系透明釉を薄掛けし還元焼成しました。
 これらの陶器を染付作品と言います。



 染付 菊紋大皿  直径32cm  高さ7.5cm
  呉須(酸化コバルトをお茶で溶いた絵具を呉須と言います)で線書きした後にうすい呉須をたっぷり含んだ
 筆で濃淡を考えながらを入れます。



 染付 東海道53次 庄野・慈雨  大皿 直径32cm 高さ4.5cm
  版画を参考に呉須一色で描いてみました。雰囲気がしっかり出ているでしょうか。
 空模様がポイントです。



 染付 木槿(むくげ)図  直径32cm  高さ4cm
  この皿は水墨画の技法を使って呉須で描いています。没骨法という技法ですが大き目
 筆にたっぷり呉須を含ませて一筆一筆ごとに濃淡を出すために筆先に呉須や水を含ま
 せたりして描き分けます。経験が相当に必要な技法です。


 古九谷風 ぶどう絵大皿   直径33cm  高さ7cm
  基本の線は染付で描いて1240℃で還元焼成した上に九谷の絵の具を丁寧に塗り800℃で
 酸化焼成を繰り返します。焼きを5回繰り返して完成させました。



 古九谷風 百合子 絵大皿  直径 32cm, 高さ 6cm
  古九谷風の色絵大皿は完成まで大変手間がかかります。
 ぶどう絵大皿と同様5回焼成後完成させています。

しだれ桜 大壺   高さ 28cm  胴径 17.5cm
桜絵の壺作りを検討しましたが桜を是非描きたくて種々検討してこのデザインに
いたしました
桜の花だけで描いた壺も作りましたが葉を入れた方が全体のバランスが良いようです。



 桜絵大壺   高さ25cm  胴径14.5cm
柿右衛門の赤にチャレンジしました。
有田の柿右衛門にも絵具を提供している店に頼み込んでゆずっていただきました。
大変高価な絵具です。温度や湿度の管理コントロールは当然、異物がほんの少し入り
込んでもきれいな発色が得られません。
一年かけてテストを繰り返し、自分の炉に合った条件を見つけ出しました。
その途中の作品です。まだ思ったとおりの発色にはなっていません。



 ぶどう絵壺   高さ23cm  胴径21.5cm
  染付のぶどう絵壺です。絵のつながりを工夫することに熱中し描き終わりホッとして
 しまいぶどうに濃淡を付ける事を忘れてしまいました。
 焼きあがってから気付きましたが後の祭りです。



 百合子絵壺  高さ30cm  胴径17cm 夏中に大きな百合子を配した構図の絵を見つけました。
気に入りましたのでそのまま壺の中央上部に描きました。
シンプルな絵付けですがお気に入りの壺の一つです。


 ここからは小物を集めた数点を紹介します。

 高さ7cm  径6cmの小さな六角形の器に瓢箪を六個描き山形東高校の校章を入れて
 みました。六瓢(ムビョウ)→無病と言われる縁起の良いデザインにしました。


 猫を描いたグイ呑みは人気が高く来客者等に差し上げました。40ケ程作りましたが
 残りは2個になりました。追加して作る予定です。


 





 砧(きぬた)青磁の器は清楚で好きな作品です。
 釉薬の調合や釉薬の厚掛け具合がポイントです。


 次は陶板焼きの作品です。





 ここからは私が取材した時に拝見した作品棚の一角です。
 このほかにも多くの棚にビッシリと作品が大切に収納されていました。


 最後に細谷君の今回の文化祭に際して寄せてくれたあいさつ文がありますので
 紹介します。

 退職後の道楽に陶芸を選択しました。
 友人の尾花沢の上の畑焼の陶芸家 伊藤瓢堂氏(本年度の斎藤茂吉文化賞受賞者)
 から70歳になってからではロクロを引けなくなるから「早めに退職して陶芸をやったら」と
 すすめられていました。
 64歳で退職する前に設備の手配や資料集めをし計画的に準備を致しました。
 この年齢では独学でやるしかありません。上の畑の陶芸館に行ってはロクロ作業や
 絵付をしている様子を見せていただきながら見よう見まねで始めました。
 ロクロ10年、土練り7年と言われるように経験の積み重ねが必要でした。
 経験を積み重ねるにつれて面白さにはまり込んでしまいました。
 開始5年頃までは納得できる作品は作れませんでしたが70歳頃になって何とか作品らしき
 焼き物が作れるようになりました。満足できない作品をずいぶん割りました。
 これからも努力を続け素晴らしい作品を作っていく気持ちです。
 皆さんと共に頑張っていきます。


 
以上が山形東涛会文化祭の陶芸の部の紹介です。
 どうか細谷君へ感想と励ましの言葉をかけていただけたら
 有難いです。
 これから随時会員の作品を紹介展示していきます。 
                    令和3年9月20日記載



  戻る