名峰月山の素顔を見る
平成23年10月20日
山形県の名峰といえばまずは月山だろう。
あの月が山の間から上り始めているような姿はとても秀麗で優雅である。
特に東面はなだらかなスロープ状の山塊となっている。
その東面を近くからじっくりと眺められるポイントがある。
山形県寒河江市宮内から熊野川を遡って大蔵村肘折温泉へ抜ける総延長36.2キロの道の
十部一峠の頂上近辺が月山のビューポイントである。
その峠から間近に見た月山を紹介する。
頂上にかすかに月山神社があるのがわかると思う。
山肌は荒れており崩れた所も数多く見つけられる。
さらに詳しく見てみるといたる所に崩落の地域があることが分かる。特に右側の地帯は
大崩落してすり鉢状になっていることが分かる。
月山も崩壊が徐々に進行しているのだ。
山形市からはこのような荒れた部分は見えなくてツルツルの肌をした山にしか見えない。
特に冬になれば雪で覆われてまるで月のような光景になるわけである。
珍しいものを紹介する。画面中央にある禿げた三角形の地帯は幸生(さちゅう)銅山のズリ山である。
ここまで来た道はあの部分のズッと下の谷間の所である。
よくぞ昔はこんな山の中に鉱山を掘ったものだ。脱帽である。
ここ十部一峠からの空はまったく宇宙まで繋がっていることを認識させてくれる透明さである。
空気がうまく何回も深呼吸をした。
紅葉も真っ盛りであった。
この道を今度はどんどん下って行けば大蔵村の肘折温泉へと向かう。
ここからの道は狭くて退避箇所が少ないので十分注意が必要である。
途中の道からダムの姿が見えてくる。
さてここからはその時体験した驚天動地の出来事である。
無事肘折温泉に到着してから時間もあるし有名な大蔵村の四箇村の棚田を見てから平地に
下ろうとして地元の人しか知らない道を教えていただき谷間の道を何度も折れ曲がりながら
もう少しで平地になると思われる地点まできた。そのとき私は狭い谷間にある川のほとりの
道をゆっくり走っていた。
両側はうっそうとした木々で囲まれ空もよく見えないし左側は谷間である。
その時突然ものすごい爆音が私の頭上で起こり同時に猛烈な強風と土、石、葉っぱ等が
嵐のような形で私の車を包み込んだ。真っ暗になり土埃と風と木々がざわめくことで何も
見えずただ車を停め吹き荒れる嵐の中でただ唖然としていた。
私はこれは間違って自衛隊の演習場に紛れ込んでしまったなと思い、こりゃ射撃されるか
なと覚悟をした。
じっと我慢をしていると車の上空での轟音が続いていたがしばらくすると音が去って行った。
恐る恐る外に出て上を見ると写真のような大型ヘリコプターが頭上を旋回していた。
そして人が身を乗り出していろいろ指図をしているのが見えた。
こんな大型ヘリコプターに狭い谷間で頭上でホバリングされたのではたまったものでなかった。
車にはあちこちに細かい傷が付いていた。
急いで谷間を出ていくと前方に大勢の人と車が狭い農道に停車していた。
谷間から突然出てきた私を見てびっくりしていたようだった。
私は傍により何事があったのかと聞いたら遭難者の救助中とのこと。
私が走ってきた地域で高齢者が行方不明になったのだそうだ。
大勢で探したのだが高い木や弦が絡み合い枯葉で覆われてしまっており、
それに草も背の丈以上に成長しているため人が入ることも困難な状況になった。
そこでヘリコプターにお願いしてプロペラの爆風で邪魔な物を吹き飛ばしてしまい
遮蔽物が何も無くなった段階で人間が捜索に入る作業をしていたのだとのことだ
った。
普段は誰も通らないはずの道から私が飛び出してきたので向こうもあっけに
とられていたのだと分かった。
遭難救助と聞いては私も苦情も言えず大人しく帰路についた。
帰宅してからニュースを見ると遭難者は遺体で発見されたとのこと。
しかしすごい捜索手法があるものだと感心してしまった。
私が遭難者とならなくて良かったと心から思った。
林道走行は十分気を付けないと駄目だと再認識をした。
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