本当に4輪駆動車は完璧か     平成23年2月9日記載

 雪国では冬になれば当然雪が降る。特に山間部になれば都会の人には
 予想出来ない状況となる。
 雪国に住んでいる私でさえも真冬の山間部に早朝や夕方に出かけるという
 ことには二の足を踏む。
 特に凍結した急こう配の下り坂の怖さはとてつもなく大きい。
 平成元年蔵王温泉であった国体スキー大会の時、コンピュータ処理を担当
 し、無事仕事が終わり閉会式が終了後の帰宅が午後5時位になりその後に
 蔵王温泉から山形に向けて帰宅した時の状況はまだ忘れない。
 当日は一日中晴れたため日中は道路の雪が融けて水が道路の全面を覆って
 いた。
 それが午後4時を過ぎて急速に冷え込んだ状態になった。
 私たちコンピュータ処理グループは仲間のスバルの4WD車で蔵王からの道を
 下り始めた。
 ところが閉会式の後のためか渋滞で車が進まなくなった。そのうちに急速に
 気温が下がってきた。
 のろのろながら進み始めたが悲劇なのは急な下り坂のカーブで停まっていた車で
 ある。
 カーブの傾斜状態で停まっているのだから当然車は傾いたままである。
 そこに道路はツルツルの黒光りした路面に変わっていたのだからたまらない。
 私たちの5台ほど前の大型バスが停止ししていた状態からズルッズルッと滑り
 始めたのだ。
 見ているとバスが斜めになったまま横に道路を平行に滑っていく。
 当然運転手はブレーキは踏んでいるのだが停まらない。
 結局そのまま傾斜がゆるくなる所まで平行移動で滑っていった。
 幸い大きな事故にはならず数台の車に衝突しただけで済んだようだが乗って
 いた乗客にとっては大きな恐怖であったろう。
 そのような様子を眺めていたら我々のスバルが停止状態から道路斜め脇に
 滑り始めたので慌てた。
 当然スバルは4輪駆動車であるがこのような状況ではどうしようもない。
 幸い路肩の雪の塊に助けられ停止をした。
 我々の前後でも同じ状況が次々に起きた。
 渋滞のために前後の間隔が無くて駆動出来なかったのだがしばらくして
 前後が空くのを待ってから車に駆動力を与えて脱出した。
 結局この日は渋滞が夜10時頃まで続いたのだった。
 何を言いたいかと言うと2輪駆動車も4輪駆動車も滑り始めたら同じという
 ことである。
 私も4輪駆動車に6年ほど乗ったがそこで体感したことを述べてみる。
 結論を言えば4輪駆動車も完璧ではないということである。

 確かに通常走行時は2輪駆動車が40キロの速度からスリップし始める時に
 4駆車はもっと上の速度からスリップし始めるのでスリップに対する限界速度は
 高いであろう。
 ただいったんスリップしたらどちらも停められなくなるのは同じだ。
 しかも4駆車は2駆車よりも高い速度でスリップが開始し始めるのでダメージ
 ははるかに大きくなる。
 その証拠に真冬の仙台・山形間の関山街道では谷間に落ちているのは
 結構4駆タイプの車が多い。
 これも4駆ということで安心して速い速度で急傾斜の凍結路を走るせいである。
 2駆車は怖くて速度を出せずそろそろと運転するので事故にならないのである。
 私も実際に4駆でスリップした経験から2駆車と比較してみると2駆車は前駆車、
 後駆車に関わらずスリップの仕方が単純である。
 とにかくクルッと回転するだけである。だから逆ハンドルも当てやすいのでリカバ
 リがしやすい。
 一方4駆はスリップの仕方が複雑である。
 回転するかなと思っていると急にグリップが戻り今度は逆に回転する方向に力が
 かかり瞬時の対応に頭が混乱する。
 多くの場合4駆の場合は道路に並行して斜めに突っ込んでいく傾向が多いこと
 を体感している。
 自分の車の前に車がいない時にスリップしたなら4駆の場合はブレーキを踏まず
 にむしろアクセルを踏む。そうすることでどれかのタイヤのグリップ力が回復する。
 ブレーキを踏んだのではグリップは出来ないままとなる。
 この事は長距離トラック運転のドライバーにとって常識事項なのだがなかなかスリ
 ップした時にアクセルを踏むということは出来ないことだし前後の車間距離が狭い
 と出来ないことである。
 
 結論 4輪駆動車はスリップしないのではなくスリップまでの限界が高いだけで
     スリップしたら同じ。過信をしないこと。
     とにかく雪道では車間距離を大きくして速度を出さないことが肝要である。

 
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